双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


「確実に地下鉄が使える駅まで送りましょう」

「えっ、いや、そんな、申し訳ないです」

「脚も不安な状態じゃ、危ないですから」


 砂羽さんは周辺を見渡す。「この天気じゃ、タクシーは捕まらないか……?」と呟いた。

 台風やこういったゲリラ豪雨が起こると、タクシー乗り場も長蛇の列になる。

 普段の交通手段が麻痺して、みんなが一斉にタクシーでの移動を考えるからだ。


「少し待っててもらえます?」

「え、あ、はい」


 砂羽さんは断ってから走って私の元を離れていく。

 相変わらず雨が川のように流れている路上を見渡していると、すぐそばから車のクラクションが鳴らされた。

 何事かと目を向けた先に見えたのは、車から降りてくる砂羽さんの姿。

 え?と思っているうち、「行きましょう」と手招きされた。


「送るって、車でですか?」

「タクシーが捕まらなそうなので、こっちのほうが早いかと」

 砂羽さんは「早く」と助手席のドアを開ける。

「あ、でも……」


 困惑している間にも、砂羽さんが雨に打たれて濡れていくのが見える。ドアを開けて待機している車の中も濡れてしまうのが申し訳なく、脚に気に掛けながら車へと近づいた。


「すみません、お邪魔します」


 私が乗り込むとドアを閉め、小走りで反対側へと回ってくる。

 砂羽さんは運転席に腰を下ろすと、ダッシュボードの上に置いてあったタオルを「使って」と私に差し出した。

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