双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「ありがとうございます」
「二駅くらい場所が変われば、この雨の被害状況は違うと思う」
スマートフォンを操作してなにかを調べ、砂羽さんは早速ハンドルを握る。
「本当に、すみません。前に一度お会いしてことがあるとはいえ、名前も知らないような相手に、ここまでよくしてくださるなんて……」
今日初めて地下鉄の入り口で会って助けてもらっただけなら、間違いなく車を取りに行かれても丁重にお断りして乗ることはなかった。
以前に被災地で助けてもらい、そして彼が自衛官だと身分を知っているからこそ、この今の状況がある。
「確かに。名前、伺っても?」
砂羽さんはふっと運転をする横顔に笑みを浮かべる。
「あ、冴島希穂です」
「冴島希穂さん、いい名前ですね。俺は、砂羽勇信です。勇気の〝勇〟に、信じるの〝信〟で勇信」
「すごく、ぴったりな名前……」
自衛官である砂羽さんに似合う名づけで、ついそんな感想が口を出ていく。
砂羽さんは「ありがとうございます」とははっと笑った。