双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「その震災のときに、任務中に亡くなりまして……」
でも、現職の砂羽さんにとったら、「そうでしたか」と軽く受け流せる話ではないかもしれない。
口にしてすぐ後悔に苛まれる。
案の定、「そっか……」とどこか深刻な表情を浮かべて砂羽さんは押し黙った。
「すみません、その仕事に就いている砂羽さんに打ち明ける話じゃないですよね。普段は人に話さないのに、すみません、話の流れでつい……」
「いや、ぜんぜんいいよ。むしろ、そんな大事な話をしてもらえて嬉しかったというか」
そう言うと「嬉しいってのもおかしいんだけど」と自分自身にツッコむように付け加える。
「冴島さんのお父さんがいたから、今の俺たちがいる。先人の、先輩たちの想いも背負って、毎日現場に立ってます」
生まれた後悔は、彼の言葉によって消えていく。やっぱり話してよかった。そう変化していく。
フルーツポンチサワーにささっている長いスプーンで、中のフルーツをかき混ぜた。
「冴島さんが話してくれたから、俺も話そうかな」
今度は砂羽さんのほうが、なにかを打ち明けようと切り出す。
パイナップルを食べようと氷をかき分けていたスプーンを止めた。
「その同じ震災で、母親を亡くしてるんです、俺」
「え……お母様を」
思わぬ話の展開に今度は私が言葉を失う。
砂羽さんは穏やかに微笑んでグラスを手に取った。