双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
砂羽さんは目の前でお母様を亡くされている。
自分は助かり、目の前ではまだ助からない母がいるという残酷な惨状。
同じように親を亡くしていても、私よりもはるかに辛く、一生記憶に強烈に残る経験をされているのだ。
「そのとき、目の前で必死になって自分と母親を助け出してくれた自衛隊員たちが、本当に頼もしくて心強くて。この体だけじゃなく、心も救ってもらったんだって」
砂羽さんの表情がどこか柔らかく変化する。
じっと見つめてしまっていた私と目が合って、彼はわずかに口角を上げた。
「だから、絶対に自分も入隊しようと決めたんです。陸自に」
悲痛な過去を乗り越えて自らの生きる道を見つけたからこそ、砂羽さんは強い意志を持って今の仕事に従事している。
彼が眩しく見えるのは、背負ってきた過去の重さと、それをバネにして自分の目指した使命を全うしようとしているからだと思った。
強く心が揺さぶられる。
もっとこの人を知りたい。そう本能的に感じる。
今まで生きてきてこんな気持ちになったことはなく、困惑しながら砂羽さんを見つめていた。
「私のほうこそ、大切な話をしていただいて……ありがとうございます」
そう言った私に、砂羽さんは急に「ははっ」と明るく笑う。
「いや、なんかすみません。初めてこうして会った日に、重すぎる話になってしまって。そもそも俺が冴島さんに深掘りしちゃったからなんですけど。ほんと、すみません」
「いえ、ぜんぜん。変な意味ではなく、親近感みたいなものが湧きました」
そう言ってみると、砂羽さんは「確かに」と微笑む。
「二杯目、頼みます?」
そう言われて自分のグラスを見ると、いつの間にかサワーは残りわずか。中に残っている果実をスプーンで取り出しながら「はい、じゃあ同じものを」とお願いした。