双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
会って早々、互いの生い立ちを振り返る重めな話をしたあとは、他愛ない会話で和やかな時間を過ごした。
先日の駐屯地イベントの話、互いの仕事の話、趣味の話など。砂羽さんが会話が上手く、おかげで気まずい間ができたりすることがまったくなかった。
居心地のいい雰囲気であっという間に時間が過ぎ、「行きましょうか」と砂羽さんが席を立ったのは二十一時に近づく時間だった。
「ごちそうさまでした」
入り口近くにいたスタッフに声をかけ、砂羽さんはドアを開けて白い暖簾をくぐっていく。
「え、あ……」
お会計を素通りして出ていってしまった砂羽さんの背中を追いかける。
「あの、砂羽さん。私、お会計を」
デザートを頼んだあと、砂羽さんは『ちょっとごめんね』とスマートフォンを片手に席を外した。
もしかしたら、そのときにお会計を済ませてしまったのかもしれない。
呑気に電話でもしに行ったのかと思っていた自分が鈍感すぎる。
振り返った砂羽さんは口元に笑みを乗せた。
「誘ったのは俺のほうだから。それに、今日はお礼をって約束したんだし」