双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


 自分にはない物事の考え方には感心したし、なにより前向きで明るい。

 行きの車内で、木佐貫さんが仕事での砂羽さんの話をしていた。

 自分を含め、砂羽さんは頼りになり慕われている存在。また、更に上の上司からは期待されている存在だと。

 もちろん、接する際には自然と背筋の伸びる尊敬する相手だけれど、兄のように心を許せる人でもあると言っていた。

 砂羽さんみたいな人だから、木佐貫さんも付いていきたいと思うに違いないと確信する。

 ふと、この人となら苦楽を共にしたら幸せなんだろうなと、そんなことを考えていた。


「すごく、素敵だと思いました。簡単に真似できるものじゃないかもしれないけど、私もそんな風になんでもプラスに考えられたらいいなって、気づきがあります」

「いやいや、そんなたいそうな話じゃないのに、冴島さん良い人だな」

 砂羽さんはどこか弱ったように笑って「ただのノー天気です」とまた自虐した。


「そういうことで、ゆっくり休んでください。調子戻ったら、木佐貫に連絡しますから」

「わかりました。ふたり時間、楽しんでもらいましょう」

「はい。俺も、冴島さんとふたりで過ごせて楽しいですし、ラッキーです」

 さらっとそんなことを口にした砂羽さんはベンチを立ち上がり、「俺もなんか買ってきます」とその場を離れていく。

 思わぬ言葉をかけられて一気に顔が熱くなるのを感じた。


 それって、なにか特別な意味を含んでいるわけではないよね……?


 自動販売機へと向かっていく上背のある逞しい後ろ姿を見つめながら、高鳴る鼓動にペットボトルを抱えたまま胸を押さえていた。

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