双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「駐屯地に住んでいると、外出許可とかをとらなくてはいけないってことですもんね……」
「ええ、規律は厳守してもらわないといけないですので、一般の企業勤めより不自由はあるかと。特別な任務があるときは、所属する駐屯地を離れますし。海外支援もありますからね」
規則が厳しいことはなんとなく知っているし想像がつく。
幼い頃の記憶だけど、私の父も任務で家に帰ってこられない期間があったり、家族と離れて過ごすことはよくあった。
目の前にいる砂羽さんもそんな中で長いこと任務に従事してきているのだ。
「私、今でもよく覚えていることがあって。父の記憶なんですけど」
砂羽さんの話を聞いていると、遠い記憶が頭の中で蘇ってきた。
何歳のときの、いつ、どこだったのか、詳細はわからない。
でも、確かに覚えている。
長く任務でいなかった父が帰ってきたときの記憶。
「周囲には人がたくさんいて、それは、私たち家族と同じ、隊員の家族とかだったと思うんです。迷彩服の父が、まだ幼かった私を抱き上げてくれて」
私の話を、砂羽さんはカトラリーを置いてじっと聞いてくれる。
彼の真剣な眼差しを受け口を開いた。
「そのとき母が、目を潤ませていたのを見たんです。幼いながらに、印象的だったんでしょうね。母は、強い人なので。この記憶を、大人になってから口にすると、帰還式だったと、母が教えてくれました」