双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
なんでこの話を砂羽さんにしたかはわからない。
自衛官として存在していた父の思い出を、自衛官として尽力している彼に話したいと心が動いていた。
「すみません、いきなりこんな話を」
「いえ、嬉しいです。話してもらえて」
砂羽さんは穏やかにそう言ってくれるけれど、唐突感が否めない。
再びフォークを手に取った砂羽さんが私に視線をよこした。
「希穂さんは、お父様が好きでしたか」
自分は、根っからのお父さんっ子だったと自覚している。
父がこの世を去ってしまった今でも、もし現在も健在だったらと、いろんな場面で思うことすらある。
もっと、父との時間を過ごしたかった。
「はい、大好きでした」
私のはっきりとした回答に、砂羽さんは柔和な微笑を見せる。
「周りの友達のお父さんみたいに、一緒に過ごせる時間は格段に少なかったと思います。でも、父はそんな時間も埋めるように私を、家族を大事に、愛してくれる人でした。なんでも認めてくれて、たくさん褒めてくれて。自分のことを大事にするようになれたのも、父のおかげです」
私の話を最後に、テーブルには沈黙が落ちる。
砂羽さんは穏やかな表情でグラスに口をつけ、そっとテーブルに戻した。
「俺も、お会いしたかった。希穂さんのお父様に。先輩としても、あなたのお父さんとしても」
きっと、私も同じなのだと思う。
父が健在であれば、砂羽さんに会ってほしかった。
そんな気持ちがあったから、自然と父の思い出を彼に話したんだと思う。
「はい。本当に、会わせたかった」
父との記憶をたどり、想いを口にしていると、思いがけず視界が涙で揺れる。
それをごまかすように前菜の続きに取りかかった。