双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「砂羽さん、ダメですって!」
レストランを出た私は、先を歩いていく砂羽さんの広い背中を追いかける。
砂羽さんはわざと早歩きをして、振り返って私を見てくすっと笑う。その長い脚で早く歩かれたらこっちは小走りだ。
「待ってください。前にふたりで食事に行ったときもご馳走になってしまったし、前回のみんなで出かけたときもバーベキュー、ご馳走になって……だから、今日は私がって来ているのに」
砂羽さんが席を立つ前にお手洗いに立って、支払いをさせてもらおうと受付に向かうと、黒服スタッフにすでにお代はいただいていると言われて卒倒しかけた。
いつの間に? 絶対に先に支払いにこれたと思ったのに、すでに済んでいるとは来店前から支払っていた? そんな疑いを持つほどだった。
そして今、私は砂羽さんにその抗議中だ。
「前々回も前回も今日も、俺が誘っているんだから。来てもらえただけで十分」
「そんなの、ダメです!」
必死に食い下がっていたとき、エレベーターホールを目前に足がもつれる。普段はあまり出番のない細めのヒールの靴を履いてきて、慣れない足下だったからだ。
柔らかい絨毯の床も手伝い、見事に体勢を崩す。
「おっと、危ない」
つんのめるようになった私を、すぐ前を歩いていた砂羽さんが受け止めてくれた。
力強い腕、体重を預けてしまってもびくともしない体幹は見事で、支えられてどきりとする。
胸元のすぐそばまで接近したせいか、ふわりと爽やかな香水の香りが鼻をかすめた。