双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「っ、ごめんなさい!」
「酔っぱらってないはずなんだけどな」
そんな冗談を言って笑う砂羽さんが私の手を取る。そのまま手を繋がれていて、驚いて言葉なく彼の顔を見上げた。
でも、砂羽さんは手を繋いだことにはなにも触れず、そのままエレベーターへ手を引いていく。
タイミングよく到着したエレベーターに乗り込み、五階を指定した。
どうしたらいいのかわからず視線も泳ぐ。だけど決して嫌じゃない。温かい骨っぽい手をそっと握り返してみると、応えるように握り返される。
触れ合ったことで高鳴った鼓動は大きくなるばかりで留まることを知らない。
これはきっと、クリスマスイブの魔法。夢見る少女みたいな思考に陥りかけていると、エレベーターは目的の五階に到着した。
砂羽さんは私の手を引いたまま、迷うことなくバーラウンジへと向かっていく。
制服のスタッフがひとり立つひっそりとした入り口から中に案内されていくと、天井の高い広く開放的な空間に歓迎される。
ブラウン調のインテリアと落とされた照明。
ひとり掛けのソファーが何席かずつ、ガスランプの灯るローテーブルを囲んでいる席がランダムに並ぶ。
正面中央ではダークブラウンのグランドピアノが鎮座し、男性ピアニストの演奏でワインレッドのドレスをまとったシンガーの女性がクリスマスソングを歌っているところだった。
席についたタイミングで手が離される。
手に持っていたコートを脇に置き、腰を落ち着けた。