組長さんと年下彼女~今日から同棲始めます~
間接照明とは別。ほんの微かに窓の外から月明りが差し込んで、京介の頬を照らしているのでさえ色っぽく感じさせられてしまう。しかも京介の表情は、今まで芽生が見たことのない〝男の人〟の顔になっていたから、触れられてもいないのに、京介からの熱が伝わってくるようだった。
そんな京介を見ていたら、再度今から起こることをやたらと意識してしまった芽生である。
(やーん。どうしよう! ほっぺたが熱いーっ)
自分からは見えないけれど、恐らく頬も上気してしまっている。
なんとなくの知識。
元職場の同僚や友人などから色々聞かされて、経験はないのに知識だけは豊富になってしまっている耳年増な自分のことを今日ほど呪いたくなったことはない。
今から京介が自分をどうするのか考えると期待とともに、不安が押し寄せてくる。
(初めての時は痛いって聞いた……!)
今更のように自分がそういうことをしたことがないことにハッとして……カムカムの休憩所で自分より年若いバイトの女の子たちが、彼氏との初体験後に『とにかく痛かった!』だの『私、痛すぎて泣いて最後まで出来なかった!』だの言っていたのを思い出してしまった。
つい雰囲気にほだされて、京介からの誘いに頷いてしまった芽生だったけれど、にわかに落ち着かない気分になってくる。
それで京介が「芽生……」と熱っぽく囁いて、芽生の頬へ触れて来た時、思わずビクッと縮こまってしまったのだ。
***
最初、京介は芽生が慣れ親しんだ彼女の寝室へ向かう方がいいだろうか? と考えた。
だが、芽生が〝こういうこと〟をしたことがないと言っていたのを思い出して、行き先を自室へと変更する。
芽生の部屋のシーツは、芽生の気持ちが少しでも晴れやかになるようにと女の子らしい明るめのものにしてあったから、よもやの時に痕跡が目立ってしまいそうだと思ったからだ。
その点、京介の部屋のシーツは黒なので、少々の汚れは目立たない。
今までそんなことを考えて女を抱いたことはなかった京介だけど、芽生が相手だとつい考えてしまうのだ。
行為が終わった後、芽生ならきっと……シーツに血が付いていたりしたらそれを申し訳なく感じたり恥ずかしく思ってしょげたりする。
〝初めて〟の行為で、芽生にそういう嫌な思いは微塵もさせたくない。
殿様が入って来られないよう寝室の引き戸を足でぴっちり閉ざしたのだってそうだ。猫だから見られたって構わねぇだろというのはあくまでも鈍感な自分の感覚だし……芽生ならきっとそういうのも気にしてしまう。
(あー、けど……)
考えてみれば殿様は〝オス〟だ。そう思うと芽生の身体を見せるのは何だか面白くないと思ってしまった。
(俺も大概だな……)
こんな感覚は初めてだ。
犬猫にだって……芽生の痴態を見せたくない。芽生の可愛い姿を見られるのは自分だけでいい。
芽生をそっとベッドに降ろして、とりあえずスーツのジャケットとベストを無造作に脱ぎ捨てベッド下へ放る。無意識にネクタイをグイッと緩めたのは、思いのほか興奮していて暑く感じられたからだ。
そうしておいて、芽生の長い髪の毛を押さえつけてしまわないよう細心の注意を払いながら彼女の顔の両サイドへ手をついた。
閉じ込めるみたいに囲い込んだ芽生の顔が、間接照明とブラインドの隙間から漏れ入る月光に淡く照らされている。
芽生の瞳は恥じらいと戸惑いに揺れていて、そのなかに少なからず〝脅え〟も混在しているのを嗅ぎ取った京介だ。
それを宥めたくて芽生の頬へ手を伸ばしたら、逆に余計脅えさせてしまったらしい。
ビクッと身体を跳ねさせてギュッと縮こまる芽生を見て、このまま進んでもいいのか迷いが生じてしまう。
それで、京介はしばらく芽生を見下ろしたまま動けなかった。
下腹部は芽生を求めて反応し始めているけれど、それを悟られないよう気を付けながら、
「……今なら、まだやめられる」
掠れるような声でそう芽生につぶやいたら、芽生が瞳を見開いた。
「……やめないで」
ふるふると首を横に振りながら、震える声で意思表示をした芽生が、まっすぐ京介を見上げてくる。
それを聞いた瞬間、京介の心の奥底で何かがほどけた。
「……このまま進める覚悟、できてるって思っていいんだな?」
低く囁くように尋ねると、芽生がこくんと頷いた。
そんな京介を見ていたら、再度今から起こることをやたらと意識してしまった芽生である。
(やーん。どうしよう! ほっぺたが熱いーっ)
自分からは見えないけれど、恐らく頬も上気してしまっている。
なんとなくの知識。
元職場の同僚や友人などから色々聞かされて、経験はないのに知識だけは豊富になってしまっている耳年増な自分のことを今日ほど呪いたくなったことはない。
今から京介が自分をどうするのか考えると期待とともに、不安が押し寄せてくる。
(初めての時は痛いって聞いた……!)
今更のように自分がそういうことをしたことがないことにハッとして……カムカムの休憩所で自分より年若いバイトの女の子たちが、彼氏との初体験後に『とにかく痛かった!』だの『私、痛すぎて泣いて最後まで出来なかった!』だの言っていたのを思い出してしまった。
つい雰囲気にほだされて、京介からの誘いに頷いてしまった芽生だったけれど、にわかに落ち着かない気分になってくる。
それで京介が「芽生……」と熱っぽく囁いて、芽生の頬へ触れて来た時、思わずビクッと縮こまってしまったのだ。
***
最初、京介は芽生が慣れ親しんだ彼女の寝室へ向かう方がいいだろうか? と考えた。
だが、芽生が〝こういうこと〟をしたことがないと言っていたのを思い出して、行き先を自室へと変更する。
芽生の部屋のシーツは、芽生の気持ちが少しでも晴れやかになるようにと女の子らしい明るめのものにしてあったから、よもやの時に痕跡が目立ってしまいそうだと思ったからだ。
その点、京介の部屋のシーツは黒なので、少々の汚れは目立たない。
今までそんなことを考えて女を抱いたことはなかった京介だけど、芽生が相手だとつい考えてしまうのだ。
行為が終わった後、芽生ならきっと……シーツに血が付いていたりしたらそれを申し訳なく感じたり恥ずかしく思ってしょげたりする。
〝初めて〟の行為で、芽生にそういう嫌な思いは微塵もさせたくない。
殿様が入って来られないよう寝室の引き戸を足でぴっちり閉ざしたのだってそうだ。猫だから見られたって構わねぇだろというのはあくまでも鈍感な自分の感覚だし……芽生ならきっとそういうのも気にしてしまう。
(あー、けど……)
考えてみれば殿様は〝オス〟だ。そう思うと芽生の身体を見せるのは何だか面白くないと思ってしまった。
(俺も大概だな……)
こんな感覚は初めてだ。
犬猫にだって……芽生の痴態を見せたくない。芽生の可愛い姿を見られるのは自分だけでいい。
芽生をそっとベッドに降ろして、とりあえずスーツのジャケットとベストを無造作に脱ぎ捨てベッド下へ放る。無意識にネクタイをグイッと緩めたのは、思いのほか興奮していて暑く感じられたからだ。
そうしておいて、芽生の長い髪の毛を押さえつけてしまわないよう細心の注意を払いながら彼女の顔の両サイドへ手をついた。
閉じ込めるみたいに囲い込んだ芽生の顔が、間接照明とブラインドの隙間から漏れ入る月光に淡く照らされている。
芽生の瞳は恥じらいと戸惑いに揺れていて、そのなかに少なからず〝脅え〟も混在しているのを嗅ぎ取った京介だ。
それを宥めたくて芽生の頬へ手を伸ばしたら、逆に余計脅えさせてしまったらしい。
ビクッと身体を跳ねさせてギュッと縮こまる芽生を見て、このまま進んでもいいのか迷いが生じてしまう。
それで、京介はしばらく芽生を見下ろしたまま動けなかった。
下腹部は芽生を求めて反応し始めているけれど、それを悟られないよう気を付けながら、
「……今なら、まだやめられる」
掠れるような声でそう芽生につぶやいたら、芽生が瞳を見開いた。
「……やめないで」
ふるふると首を横に振りながら、震える声で意思表示をした芽生が、まっすぐ京介を見上げてくる。
それを聞いた瞬間、京介の心の奥底で何かがほどけた。
「……このまま進める覚悟、できてるって思っていいんだな?」
低く囁くように尋ねると、芽生がこくんと頷いた。