推し活スポンサー公爵との期限付き婚約生活〜溺愛されてるようですが、すれ違っていて気付きません〜
気がついたらミシュリーヌになっていた。
その記憶が蘇ったのはミシュリーヌが七歳の時だ。
ミシュリーヌは高熱を出して、目が覚めたら別人になったと屋敷では話題だったのだが、その話はひとまず置いておこう。

(生きているだけで最高なのに、健康な体で過ごせるなんて夢みたいだわ……!)

ここがたくさん読んでいた小説のうちの一つ。
その小説の中の自分がミシュリーヌとして第二の人生を与えられたと気がついたのはすぐのこと。
ミシュリーヌはクロエを虐めていく悪役令嬢の一人だ。
クロエは心にトラウマを抱えながらも懸命に前を向くヒロインとなる。

ミシュリーヌは両親が頭を抱えるほどに意地悪でプライドが高い令嬢……のはずだった。
だけど記憶を思い出したことにより、クロエを傷つけようなどと一切思わない。
そんな気持ちはまったくなくなった。

(今度こそやり残すことのない素晴らしい人生にしましょう!)

クロエが絶世な美女なため嫉妬してしまう気持ちはわからなくないが、ミシュリーヌは元気な体と健康に感謝の気持ちしかなかったからだ。
今は恋愛などしている場合ではない。
許されるならば自分のために時間を使いたい、そう強く思った。

暫くは神に感謝の祈りを捧げて、やりたいことをやろうと決意する。
この時はまだこの世界で推し活をしようだなんて思ってはいなかった。
前世では推し活以外にも数えきれないほどに、やり残したことがあったからだ。
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