ホンモノはどっち？〜僕と君の証明〜

向日葵は成績は良くないものの、人懐っこく明るい性格で多くの人から好かれている。そんな彼女と高校が離れてしまうのは、伊織にとって耐えられそうになかった。

（自分が知らないところで向日葵に言い寄る奴がいたら最悪だ）

一緒にH高校に入学する未来を得るため、伊織は毎日向日葵に勉強を教えているのだ。

勉強を始めて二時間。休憩をすることにした。伊織がジュースとお菓子をキッチンに取りに行って戻ると、向日葵が自分のリュックの中から何かを取り出している。それは何かの液体が入った小瓶だった。

「向日葵。それ、何だ？」

「よくぞ聞いてくれた！これは、自分の分身を作れる薬だよ！」

向日葵は得意げに胸を張って言う。伊織は「はぁ？」と声を上げてしまった。

「そんなSF小説じゃあるまいし……。そもそも、そんな薬が世の中にあったら大パニックだぞ」

「あっ、信じてないな！あたし結構頑張って作ったんだよ？飲んで確かめてみてよ〜」