ホンモノはどっち？〜僕と君の証明〜

向日葵が小瓶を伊織に手渡す。小瓶に入っているのは水のように透明な液体だ。

（ただの水を「分身できる薬」なんて言ってるのか？勉強乃しすぎで脳が疲れてしまったのか？）

心配はあったものの、ここは素直に小瓶の中の液体を口にした方がいいと伊織は判断した。小瓶を開ける。匂いは特にしない。一気に中身を飲み干す。何の味もしない。

「飲み終わったぞ。何の味もしなかった。本当に薬かーーーうっ！」

突然、伊織の体に痛みが走った。その場に崩れ落ちた彼を、向日葵は興味津々といった様子で見つめている。伊織はもがきながら意識を失った。



「伊織〜！大丈夫？」

「起きなよ」

二つの声が聞こえた。一つは向日葵のものだ。しかしもう一つの声は聞き覚えがない。目を開けた時、伊織は目の前の光景に驚いて声を上げた。

「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

向日葵と共に、一人の男子が自分を覗き込んでいる。それは紛れもない伊織自身だった。まるで鏡を見ているかのように、自分と瓜二つの人物が目の前にいる。