帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
しばらくして、私は尊成様のお子を身ごもった。

尊成様は、忙しい公務の合間を縫っては必ず桐壷へ足を運んでくださる。

「この中に……朕と美琴の子がいるのだな。」

そう言い、私の腹に大きな手を添える。

その温もりに、胸がじんわりと熱くなった。

その日は春の陽射しが障子越しに柔らかく降り注ぎ、庭先の桜がゆらりと花びらを散らしていた。

尊成様は私の膝を枕にし、目を細めて微笑む。

「この子と、美琴と……三人で生きていきたい。」

その声は穏やかで、深い愛に満ちていた。

やがて尊成様の呼吸はゆるやかになり、膝にかかる重みが心地よい。

私はそっとその髪に触れ、指先で梳いた。

――この人となら、きっと幸せになれる。

長い年月、待ち続けた意味が、今ようやく形を持ち始めている。

尊成様の寝顔を見つめながら、私はお腹に手を重ねた。

そこには、二人の愛の証が確かに息づいている。

外では春風が吹き、桜の花が一枚、静かに畳の上に舞い落ちた。

私はその瞬間、これ以上の幸福はないと心から思った。


ーEnd -
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