Devil's Night
 
 異常としか思えないカイの妄想を聞いているのが、耐えられない。


 彼の体の下から抜け出そうと身をよじった時、不意にカイが優美な笑みを浮かべた。


「今度こそ、うまくやる」


 ひとりごとのようにつぶやいた彼は、私の首にやった指の力をゆるめ、ゆっくりと顔を傾けた。


「今度こそ……」


 誓うように言ったカイの唇が降りてくる。急激に湧き上がってくる嫌悪感に、私は叫ぼうとした。


「や……」


 なぜか急に、声が出なくなった。


――声が……何で……?


 何とかカイを押し退けようと、必死でもがいたが、見えない針金で体をグルグルと巻かれているように、全く動けない。そして、その拘束は徐々に強まっていくように思えた。


 顔を背けることも、みじろぎもできない私は、ついに指1本動かせない状態に陥った。


――やめて。


 心の中で叫びながら、近づいてくるカイの顔を見ているしかなかった。




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