Devil's Night
 
「う……」


 静かに重ねられた唇は意外なほどやわらかく、温かい。そのまま唇を合わせているうちに、硬直したようになっていた全身から力が抜け、頭がぼんやりしてきた。


 初めてのキスなのに。しかも、無理やり奪われているのに。……恍惚としていた。このままカイに身を任せてしまいたくなるような心地よさを感じ、思考回路がマヒしていく。


――催眠?


 違う。私の中に誰かがいる。その誰かが、カイを受け入れようとしている。全身全霊で。


 生まれて初めて、私は、自分の中に別の人格があることを感じた。
< 137 / 359 >

この作品をシェア

pagetop