Devil's Night
彼女はカイに寄り添い、うっとりと街の惨状を見下ろしている。
燃えさかる家から若い赤毛の娘が飛び出してきた。そこへ、業火に追われるように、馬車が走ってくる。
「キャァァアッ……」
馬のひずめに踏まれ、大きな木の車輪に轢かれた娘は、道に転がったまま動かなくなった。
小さな家の中では老人が衣類に燃え移った炎を消そうと、必死に服を叩いている。親とはぐれ、泣き叫ぶ子どももいた。
このひどい光景を見て、平然としているカイと私。ふたつの顔は、この地獄のような光景を前にして、口許に薄い笑みさえ浮かべている。