Devil's Night
「神父……様……」
木こりがおののくような声を掛けると、若い神父は眉をしかめながら体を起こし、
「あなたたちは町へ戻りなさい。何もなかったことにして」
と、言った。諭すような言い方で。群衆の中には唖然とした顔のまま十字をきり、涙ぐむ者もいる。
「神のご加護を……」
そう言い残しては、町の人たちがひとり、ふたりと消えて行った。神父殺しの現場に居合わせることを畏れるように。
最後までそこに立ち尽くしていた木こりに、神父がもう一度、
「行きなさい」
と、穏やかに微笑んだ。深手を負っているとは思えないほどの優しい瞳。私はこんなに静かな微笑を見たことがない。