Devil's Night
 
「まだ、死ねないね」


 カイが意地悪く笑う。


「きっとハルを見るたびに絵莉花のことも思い出せるよ」


――絵莉花……。


 私はこの命が終わるまで、恐ろしい罪悪感を背負い続けなくてはならない。自分のやったことを考えると、胸がちぎれそうだ。思い出すことを放棄しなければ、もう生きていけないだろう。後悔の重さに気を失いそうになりながら、カイを見た。


「カイ……」


「何?」


「お願い。もうやめて……」


 また悪魔に哀願している自分がいた。


「やっぱり、『前の美月』より冷静だね。前の美月は僕の言うことも聞かないで、あっという間に飛び降りてしまった」


 カイが満足そうに笑う。


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