Devil's Night
 
――人見知りの陽人まで、どうして……。


 ふと見た陽人の手に、見覚えのないおもちゃのスコップが握られている。子どもたちの好奇心を利用して暗示にかけたのだろうか。


「ただいま、美月」


 子どもたちを抱えたまま、私ににっこりと微笑みながら、カイがリビングに入ってくる。


「美月、おかえりなさいのキスは?」


 微動だにできない私にカイが要求する。その瞳が聞いていた。『どうする? 美月』と。
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