Devil's Night
「カイ、『いってきます』のキスはしてくれないの?」
ポケットの中に手を入れて、冷たい金属の感触を確かめながら尋ねた。
「ああ」
カイは顔に微かな苦痛をにじませながらも、体を折るようにして唇を寄せてくる。
――今だ。
私はカイのキスを頬に受け止めながら、ポケットから手錠を引っ張り出し、瞳だけを動かして、カイの右手の位置を確認した。私の腰に回されかけている血のついた指先。その手首をすばやくつかみ、がちゃり、と手錠をかけた。
「美月?」
驚いたように体を離すカイの左手を、もう一方の輪で拘束した。カイは呆然とした顔で、つながった自分の両手を見ている。