Devil's Night
 
「イタッ!」


 声を上げた男の腕がほどける。けれど同時に、ものすごい力で突き飛ばされた。


「あっ」


 ふわっと体が宙に浮き、次の瞬間、私はレンガの壁に激突して、したたかに頭を打った。


「ううう……」


 頭部に強烈な衝撃を感じた後、徐々に視界がかすんできた。


―――頭が痛い。


 白んでいく視野の中、ふたりの男に見下ろされているのがわかったが、自分がいつ床に倒れたのかはわからなかった。


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