Devil's Night
私は恐怖に追い立てられるようにして、ゴーストアパートを出た。死体より、もっと恐ろしいものを見つけてしまったような気がしていた。
あの気味の悪いサークルを思い出す度に、激しい頭痛に襲われる。
私は屋根裏で見つけたものについて考えることをやめ、自分に『死体はなかった』という事実だけを言い聞かせた。
――死体はなかった。
あの廃墟から、男の子がひとりで運べるような場所で、死体が発見されたという話も聞かない。
全部夢だったような気がする。いや、夢だと思いたかった。
その日から、私は努めてあの夜のことを思い出さないようにした。魔法陣のこと、ふたりのダンサーのこと、灰色の猫のこと、そして、カイのこと……。
――全部、夢よ。
けれど、記憶をいくら否定しても、ゴーストアパートだけは不気味な存在感を伴ってそこに建っていた。