落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「あの殿方はもしかして騎士副団長のフォーレン様ではなくって?」
「あら、本当ですわ。いつ拝見しても麗しいですわ」
「隣の方はどちらのご令嬢かしら?」
「さぁ、私は存じ上げませんが」

 ヒソヒソと外野から好奇な目で噂されているのが耳に入る。
 ひっ、場違いですみません!
 心で謝りながらも、顔は軽く笑みをたたえたままだ。心の中を悟られないよう、とにかく笑顔は崩さないようにとマナーレッスンの時に教わった。……頬がピクピクとしているが。

「ふっ、顔が引き攣ってるぞ」

 ライオネル様が私の顔を覗き込んで笑みをこぼすと、周りのご令嬢達からどよめきが起こる。

「きゃーっ、今のご覧になりました? 何て甘い顔でお笑いになるのかしらっ」
「拝見致しましたわ。氷のようなライオネル様にあのような顔を向けられるあのご令嬢は、いったい何者ですの!?」

 うっ、何者って、元落ちこぼれの新米聖女です、すみませんっ。
 再び心の中で平身低頭する。

「会場で大聖女様と合流するのだったな?」

「はい、そうなんですが、人が多くて見つかりませんね」

 辺りをキョロキョロと見回すが、大聖女様と思しき姿はなかなか見つからない。
 本日は神殿代表としての参加なので、大聖女様と共に国王陛下と王妃殿下に謁見することになっている。大聖女様は夫である公爵様と参加されるので、王宮で合流することになっていた。

 人混みを縫って歩いていると、聞き覚えのある声に呼び止められた。

「あ! ライオネルに、アイリスちゃーん!」


 
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