落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 もしかしてシャーロット様に買い出しのことが知られたのは、フェリシティ様が教えたからってこと? 
 取り巻きの見習い聖女が言っていた手紙っていうは、彼女が出したもの?
 あの時、神殿の裏門で感じた視線はフェリシティ様だったんだわ。

「でも、本当は一度試してみたかったのですよ、呪死魔法。ありがとう、アイリス様。ふふっ、とても高度で美しい術式でしたわ」

 フェリシティ様は目を細め、うっとりとした表情を浮かべる。
 じゅし魔法……? 

「な、呪死魔法!? 君はなんてことをっ」

「元はと言えばライオネル様が悪いのですよ? 私を捨てて騎士団になんて入るから。私はあなただから、家に縛られても、結婚して伯爵夫人として生きてもいいと思えたのに。私はっ、初めてあなたとお会いした時から、ずっとお慕いしておりましたっ」

「フェリシティ嬢……」

「今からでも遅くはありません。騎士など辞めて、私の元に帰ってきてくれませんかっ?」

「……すまない……、それは無理だ」

 ライオネル様は顔を伏せた。

 フェリシティ様は元婚約者をずっと思っている。あの噂は本当だったんだ。
 意識が朦朧とする中でも、フェリシティ様の悲痛な叫び声は頭の中に入り込んでくる。

「……そう、残念です……。……ふふっ、アイリス、あなたは本当に憎らしい子ね。私の欲しいものをいとも簡単に手に入れていくのだから。神聖魔法も、次期大聖女という地位も、――ライオネル様もっ」

 冷ややかな笑顔を浮かべるフェリシティ様の手のひらから、灰色の光の渦がゴオッと音を立てて出現する。

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