落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「うわ、マズイよ。俺がフェリシティ嬢を阻止するから、ライオネルは彼女連れて逃げてっ!」

 アンディさんが私達を庇うように間に立つ。

「あぁ、頼む。アイリス、少しの間我慢してくれ」

「……はい……」

 ライオネル様に抱き上げられると、私は力を振り絞って彼の首元にしがみついた。

「邪魔ですわ――っ」

 ゴゴ――ッという轟音と共に、灰色の光がアンディさんを吹き飛ばす。

「うわ――っ」

「アンディッ」

「――っ、あっぶなー」

 アンディさんはかなりの距離を吹き飛ばされていたが、防御魔法でもかけていたのか無傷のようだった。

「逃げても無駄です。ライオネル様、本当に愛しておりました」

 さっきよりも大きく禍々しい真っ黒な光が、フェリシティ様の周りを取り囲んでいく。
 彼女の憎悪が具現化されたものだろうか。その黒い光がまるで悪魔のように見えて、私は恐怖でゾクッと全身が震えた。

「……さようなら」

 フェリシティ様がそう呟くと、その悪魔がこちらへ猛スピードで迫ってくる。

「――!?」

 私がぎゅっと目を閉じると、ライオネル様がその攻撃から護るかのようにきつく抱き締めてくれる。

 ドォォ――――ンッ!!

 耳をつんざくような衝撃音が響いた直後、静寂に包まれた。

「……?」
 いったい、何があったの……?

 瞼の隙間から光が差し込んできて、重い瞼をどうにか動かす。
 私とライオネル様の前に、金色の分厚い光の壁が見えた。

 これって、防御魔法? すごい、こんな強力な魔法、見たことないわ。すごく強い魔力なのに、不思議と安心する……。

「アイリスッ、大丈夫か!?」

 ライオネル様が金色に輝いていて、とても綺麗だわ。
 ずっと見つめていたいのに、こちらを覗き込むライオネル様の顔が次第にぼやけてくる。

 あれ……、私、力が……入らな……い……。

 そうして、私はそのまま意識を手放した。

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