落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
「それは……、俺が、く、口移し……で……」

「口移し?」

 くっ、口移し!? な、それってアレではないですか! いや、違う違う。人命救助ですよ。それをしないと解術できなかったのだから、ライオネル様は仕方なくしてくれたんですよ。
 そう自分に言い聞かせ、高鳴る鼓動を落ち着かせる。

「解術する為とはいえ、君にその様な真似をした事、すまなかった」

「え、そんな謝らないで下さい! ライオネル様が助けてくださらなかったら、私の命は危なかったんですから!」

「いや、しかし、事実を知って君は嫌だっただろう? 償いはする。何でも言ってくれ」

「償いって……」

 そんな大げさな。ライオネル様って真面目すぎる。助けてもらったのは私の方なのに。

「……アイリス」

「はい……?」

 少し強張った表情の彼に呼ばれ、背筋を伸ばす。 

「……俺は君に、ずっと言いたいことがあったんだ」

 ライオネル様は私の手を両手で包みこむと、真剣な眼差しでこちらを見つめ、一つ大きく息を吸った。

「俺と……、結婚してくれないだろうか?」

「え……」

 びっくりして、息ができなくなった。ドキンドキンと鼓動が激しく鳴る。
 聞き間違いじゃないよね……? 

「嫌ならはっきりと断ってくれ。君は優しいから、気を使ってしまうだろう?」

 そんな時も私の事を考えてくれるライオネル様の方が、よっぽど優しいよ。
 私はぶんぶんと首を横に振りながら、さっきの償いのことを思い出した。
 
 真面目な彼のことだから、もしかして口移しの責任を感じて私との結婚を言い出したんじゃ……。あり得る……。

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