落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
十三歳になったその年の春から、俺は王都の魔法学院に入学することになっていた。
寮に入れば、いつ領地に戻って来れるかわからない。その思い出作りのつもりだった。花が大好きな母に、湖に行こうと誘ったのだ。
屋敷から馬車を走らせ湖に向かった。
一緒に来るはずだったエリゼは、昼寝をしていて起きなかったので、乳母と共に留守番になった。
湖畔には春の訪れを知らせるように、白いスノードロップが一面に咲いていた。
母とお茶を楽しんでいると、護衛騎士の緊迫した叫び声で空気が一転する。
「奥様ーっ、ライオネル様っ、ま、魔物ですっ。直ちにお逃げくださいーっっ」
黒い大きな犬に似たヘルハウンドの群れが唸りを上げながら、こちらに近づいてくるのが見えた。
「まっ、魔物!?」
国境近くの山間部では魔物がいると聞くが、まさか領地内に出没するとは想定外だった。
「母上、早く逃げましょうっ」
母の手を引き、馬車に向かって走っていった。
普段走り慣れない母は、スカートの裾を踏み転倒してしまう。
その時、一匹のヘルハウンドがこちらに向かって攻撃してきた。母を庇おうとした俺は背中に爪を立てられ、その場に倒れ込む。
「くっ……」
「ライオネルッ」
ヘルハウンドはとどめを刺すかのように、俺に向かって鋭い牙をむけ襲いかかろうとした時だった。強く抱きしめられる。
「うっ……」
温かな体温に包まれ、耳元で聞こえたのはうめき声だった。鉄のような臭いが鼻に纏わりついて離れない。
「は、母上……」
「ライ……ネ……ル……。にげ……て……」
寮に入れば、いつ領地に戻って来れるかわからない。その思い出作りのつもりだった。花が大好きな母に、湖に行こうと誘ったのだ。
屋敷から馬車を走らせ湖に向かった。
一緒に来るはずだったエリゼは、昼寝をしていて起きなかったので、乳母と共に留守番になった。
湖畔には春の訪れを知らせるように、白いスノードロップが一面に咲いていた。
母とお茶を楽しんでいると、護衛騎士の緊迫した叫び声で空気が一転する。
「奥様ーっ、ライオネル様っ、ま、魔物ですっ。直ちにお逃げくださいーっっ」
黒い大きな犬に似たヘルハウンドの群れが唸りを上げながら、こちらに近づいてくるのが見えた。
「まっ、魔物!?」
国境近くの山間部では魔物がいると聞くが、まさか領地内に出没するとは想定外だった。
「母上、早く逃げましょうっ」
母の手を引き、馬車に向かって走っていった。
普段走り慣れない母は、スカートの裾を踏み転倒してしまう。
その時、一匹のヘルハウンドがこちらに向かって攻撃してきた。母を庇おうとした俺は背中に爪を立てられ、その場に倒れ込む。
「くっ……」
「ライオネルッ」
ヘルハウンドはとどめを刺すかのように、俺に向かって鋭い牙をむけ襲いかかろうとした時だった。強く抱きしめられる。
「うっ……」
温かな体温に包まれ、耳元で聞こえたのはうめき声だった。鉄のような臭いが鼻に纏わりついて離れない。
「は、母上……」
「ライ……ネ……ル……。にげ……て……」