落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 中は至って普通の庭園のようになっていた。
 正面にはレンガ造りの五階建ての大きな建物がある。そこに続く通路の周りは一面花壇になっていて、白や、黄色などの小さな花が咲いていた。花の咲いていない植物も多く見られた。
 研究所っていうから、もっと無機質な雰囲気なのかと思っていたから意外だった。

 あれ? あの草って……たしかマール村にあったのに似てる。

「もしかして、これって薬草ですか?」

 先を歩いているライオネル様に尋ねた。

「よくわかったな。ここの花壇は全て薬草だそうだ。王国中の薬草を育てているらしい」

「へぇ、そうなんですか。すごい!」

 私が感心している間に建物の入口に到着した。すると扉が自動に開く。
 よしっ。今度は驚かなかったぞ。私は心の中でガッツポーズをした。

 建物の中はかなり広いエントランスホールで、がらんとしている。扉も階段も見当たらない。所々にランプが光っているだけだった。

「こっちだ」

「え? はい」

 ライオネル様が迷いもせずエントランスホールの中央に歩いていったので付いて行くと、床に不思議な模様が描いてあった。
 これって魔法陣かな……?

 その中央に立った時、パッと一瞬で辺りの景色が変わる。
 広いエントランスホールとは一転して、狭くて物がごちゃごちゃと置いてある部屋に立っていた。

「やあ、いらっしゃい〜、ライオネルとアイリスちゃん。俺の研究室へようこそ〜」

 声のした方を見ると、アンディさんが笑顔で手を振っていた。
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