落ちこぼれ見習い聖女は、なぜかクールな騎士様に溺愛されています?〜これ以上、甘やかされても困ります〜
 私はベッド横の椅子に腰かけ、寝ている従騎士に声をかける。 

「それでは治療を始めますね」

 魔法の訓練はしているが、実際治療をするのは久しぶりだ。ゆっくりと包帯を取ると刃物で切ったような痛々しい傷口が現れる。
 う、痛そう……。私にこんな傷を治せるか不安だけど、今は頑張らないと。

 手のひらに魔力を集中させると、段々と温かくなってくる。僅かながら白い光が私の手から漏れ出し、開いた傷口が少しだけ塞がったようだ。

「あの、痛みはどうですか?」

 従騎士に訊ねると、彼は怪我した腕を上下に動かして確かめている。

「あ、さっきよりいいです」

「そうですか? じゃあもう少し治療しますね」

 私は再び回復魔法を傷口に当てる。

「う……、ん……、あと少し……」

 傷跡が段々と薄くなっていく。私の額から汗が落ちた。

「はぁ……よかった……。治ったわ……」

 傷がすっかり消えたので私は安心して息を吐いた。しかし次の瞬間、魔力切れを起こし、ぐらりと目が回って倒れそうになる。

「あ……っ」

 身体を立て直そうとするが力が入らず、そのまま椅子から落ちるかと思った時、誰かに背中を支えられた。

「おい!?」

 頭のすぐ上で男性の低い声がした。振り返って上を見ると、黒髪の騎士様の顔が近くにあった。
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