手を握ってくれたあなたともう一度
「危ない!」

サザネの声と共に赤い炎がゼスのそばで燃え上がった。
ギリギリのところで黒い霧は炎で消滅した。

「すまない、助かった」

「効かないのか」

駆け寄りながらサザネはゼスに話しかける。

「あぁ、全く効かない。どうなってやがる」

2人がそうこう話している内にも黒い霧は襲い掛かってくる。

「くそっ、とりあえず今はこの黒い霧に触れないようにするぞ」

「了解」

2人は離れて黒い霧を避けるように動くが数が多いうえに妖怪たちもいて思うように動くことが出来ない。

「っ!!」

岩に足をとられバランスを崩したサザネに黒い霧、妖怪が同時に襲い掛かる。
ここまでか、とサザネが諦めかけたときグッと力強く誰かに腕を引っ張られた。

ドサッ

その衝撃で受け身をとれずに地面に倒れこむ。

「サザネ、諦めるな」

こめかみに汗を垂らしたゼスの顔がサザネの目の前にあった。
ゼスが引っ張ってくれていなかったら確実にサザネは死んでいた。

「悪い」

謝りながらサザネは今の状況を確認する。
襲い掛かってきた妖怪は体制を整え、間合いをとっており、黒い霧は空の方へと消えて行った。
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