手を握ってくれたあなたともう一度
もう一度
「ゼス!サザネ!」
聞き覚えのある声が聞こえ、ゼスはリアラから体を離す。
リアラが眠ってからは黒い霧もなくなり、嫌な感じもなくなっていた。
「トルア」
名前を呼んだゼスだったが、トルアの横に知らない男性と女性もいた。
「ゼス!リアラは・・・・っ・・」
ゼスの姿を見つけてトルアはすぐに駆け寄るがリアラの姿を見て言葉を失った。
「リアラは「リアラという少女はこの子ですか?」」
ゼスの言葉と重ねるようにそう問いかけたのは神父の格好をた男性だった。
「あんたらは一体・・」
「はい、そうです」
状況を把握できないまま、話が進んでいくことを静かに見ていたゼスに対し、
「ゼス、混乱しているかもしれないがリアラを助けることが出来るかもしれない」
トルアは力強くそう告げた。
その言葉だけでゼスは目が覚める。
「わかった、俺も手伝おう、何をすればいい」
涙を乱暴に拭うと神父の人に向き直った。
「この少女がもっていた力は呪いの力です。
私たちの国から逃げ出した恐ろしい力です。
この力は人から人へと伝染し、威力を増していきます。
恐らく彼女が息を引き取った今、力は新しい体を求めて出てくるはずです。
ただ、すぐに出てくるとは限らないので無理矢理にでも彼女と引き離します」
説明しながら神父は何かの言葉を唱えると十字架をリアラの体に向けた。