一夜から始まる、不器用な魔術師の溺愛
「さっきから、体震えてる。」

からかうような声音なのに、目はどこか優しかった。

その瞬間、胸の奥で何かがきゅっと熱くなる。

ただの一夜の相手のはずなのに、心まで掴まれてしまいそうで怖かった。

「お兄さんは……」

恐る恐る問いかけると、彼は小さく笑って答えた。

「ロイって呼んで。」

「え……」思わず目をぱちくりさせる。

「初めての男の名前を知らないなんて、あり得ないでしょ。」

その一言に、胸が一気に熱くなる。

私は慌てて胸元を隠しながらも、小さな声で告げた。

「……セレスです。」

「セレス。いい名前だな。」

そう言ってロイは私の顎をそっと持ち上げ、口づけを落とした。

柔らかい感触に息が詰まる。

——何もかもが初めてで、体の奥が熱くなる。

シャワー室を出ると、部屋まではすぐだった。

「おいで。」

低い声に導かれるままベッドに押し倒される。
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