ジュエル♡ハント~治癒王子は愛しの彼女を過保護に守る~


パシッ



誰かに腕を掴まれた。

振り向くと、掴んでいたのは撮影スタッフの1人と思われる人。



「あの……あなたのファンで……こっそり……サインください……」



帽子を深くかぶっているから顔はよく見えないけれど、か細い声でお願いされ緊張が伝わってくる。

嬉しいな、アイドルとしてちゃんと応えたいな。



「琥珀?どした~?」

「あっ、すぐ行くから先行ってて~!」



夜兄と翡翠に先に行ってもらう。

サインを書いているうちに、先に行った2人の姿は見えなくなっていた。



「はい、どうぞ」



サインを渡そうと手を伸ばした時、その手をギュッと握られた。

驚いてスタッフさんを見ると、伏せていた頭が上がり、帽子の下の顔が見える。



「……えっ…………」



驚きのあまり声が出てしまった……まさか……別人だよね……?


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