天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「……尊い味です……」

 しみじみ呟くと、目の前でプッと音が聞こえ機内誌がフルフル震えた。

 私は怪訝な顔でシオン様を見る。

「笑っていますわね?」

「いや、そんなことは……」

「笑っていらっしゃるわ!」

 声を荒らげると、ついに機内誌越しにクツクツと笑い声が聞こえてくる。

「もう!」

「いや、昨夜のお礼だ。これくらい当然だろう」

 シオン様が答え私はザァァァと血の気が引く。

 押しの尊き行動ですっかり失念していたが、私は推しを襲ったかも知れない容疑者だった。
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