天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
(でも、エリカが恋に乱れてるせいだから――なんて知ったらシオン様は傷つくでしょうね……)
実際に、原作で事実を知ったときのシオン様は大きなショックを受けていた。
自分の思いは伝わらず、違う男と婚約し、さらには大聖女になるべく育て上げたにもかかわらず、その神聖力を乱すほどローレンスに思いを寄せていると知り、シオン様はダメ押しをされたのだ。
だからすべての罪を自分で引き受け、断罪されることも厭わなかった。あれは、自傷行為のひとつだったのだ。
(だから、私がここでその事実を告げるわけにはいかないのよ。この事実を知ってシオン様が失踪したらすべての努力が無駄になる)
私は小さくため息をついた。すべてを明かしてしまえば簡単だ。しかし、それはできない。なによりもシオン様の心を守りたかった。
「私が呪い? その証拠は?」
私は気丈にローレンス殿下を見やる。
「神殿に着けられた謎の棒だ! あの棒はセレスタイト公爵家の寄進によってつけたものだと聞いたぞ!」
「避雷針のことですか?」
「ヒライシンだと? 飛来侵……侵入者を飛来させるものか? やはり雷を呼ぶ棒だったのだな!!」
ローレンス殿下は勝ち誇ったように言った。