天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
「後ろ暗いことがないのなら、魔導師シオンを解放し、魔塔を閉鎖すれば良いだけだ。その後も凶事が続くのなら、原因はほかにあるといえよう」
私は喉から出かかる言葉を呑み込む。
(原因はエリカなのに)
悔しくて、やりきれない。しかし、それを口にすればシオン様の失踪につながりかねない。
(だったら私は……)
キュッと唇を噛み、頭を下げる。
「承知いたしました。魔塔を閉鎖するためのお時間をいただきたく存じます。あそこには孤児がいるのです。子供に罪はありません。受け入れ先を探すまでお時間をください」
私の言葉に国王陛下は目を細めた。
「ああ。噂には聞いていたな。子供を攫っていたのは本当だったとは」
私は小さく笑う。
「親や孤児院にすら虐げられていた子供たちを保護していただけですわ。……髪が闇色に近いというだけで」
国王は息を呑み、苦渋の顔をする。