天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
「シオン様にお話があります。最近の天候不良や凶事が、私が作った魔塔のせいだと噂があるのはごぞんじですか?」
「ああ。くだらない噂だな」
シオン様は無表情に答える。
「国王陛下より、魔塔と凶事が無関係であることを証明するために、シオン様を魔塔から解放するように命じられました」
「解放? 面白いな、私は好きでここにいるのに」
シオン様が小さく笑い、私は思わず涙が零れそうだ。
(好きで魔塔にいてくれていたんだ――)
だとしても状況は変わらないのだが、私は救われた気持ちになる。
「嬉しいお言葉ありがとうございます。でも、国王陛下のご命令です。魔塔の疑惑が晴れぬうちは、セレスタイト公爵家も謹慎とのことです」
私は説明し、唇を噛む。