大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

 アイリスが窘めるとベアトは両手を挙げて降参のポーズをとる。私たち三人のやりとりは学院時代からこんな感じだ。

「……まあ、推し命なところは変わらないようで安心した」
「でも魔力無しで魔力吸収(マジック・ドレイン)しか使えないシャルが魔力暴走なんてありえないし、旦那だけ見えなくなるなんて、絶対に可笑しいわよ!」
「いや、まあそうだけど。シャーロットはこのクソ最悪なゲーム設定をひっくり返す能力を持っていたのだから、その反動が数年後に表面化したって可能性はあるんじゃない?」
「(アイリス、聖女の仮面を被っていても時々言葉遣いが乱暴になるの、変わってないわ)あ、……それでさっき死の満開(デス・フルブルーム)の可能性を心配したのね」
「その通りよ!」

 死の満開(デス・フルブルーム)
 この《DEMISE(ディマイズ・)OF FLOWERS(オブ・フラワーズ)》、通称ディフラの世界は、花の存在がとても大きい。

「シャーロットも知っているとおり、この世界の魔力持ちは遙か昔地上に住んでいた花女神からの《魔法の種子》を体内に取り込むことで、魔力を得たとあるでしょう」
「ええ。花女神信仰でも有名な話だけど、アイリスが言いたいのは教会の教義ではなく()()の方でしょう」
「そうゲーム設定の根幹となる話よ」
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