大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

 ***

 それから二人は私の気持ちが落ち着くまで、根気強く話を聞いてくれた。

「しばらく辺境地に滞在するわ」
「え、でも二人とも仕事は?」
「「……………………」」
「聖女と王妃なのだから、長い間仕事を空けるのはよくないわ」
「なら気分転換も兼ねて、シャーロットが王都にくればいいじゃない?」
「え(これから収穫祭の時期に入るのに、このタイミングで王都に行く?)」

 去年までは領土での収穫祭の準備やら何やらを一人で切り盛りしていたので、王都での王妃(ベアト)主催のパーティーにも「参加不可」の返事をせざるを得なかった。

「今年は旦那がいるのなら、領地の収穫祭を押しつけてやればいいわ。本来なら領主としての仕事を全部シャルに丸投げでしょう! まったくそれで公爵だなんてお笑いぐさだわ」
「ベアト。……でもみんなシャーロットを心配していたのはホントよ。一人で辺境地に行くことをよく思ってもいなかったもの。最初は公爵がシャーロットを独り占めしたいから、領地に引っ込んだと思っていたのに……。孤立させるだけさせて、放置なんて論外。今から公爵に説教を──」
「アイリス、落ち着いて! 聖女(ヒロイン)としてアウトの顔している! そ、それに放置されていないから。……ただ仕事が重なってしまっただけで、手紙や贈り物、一緒に居る機会を作ろうとしてくださってはいるのよ」
「まあシャルがそういうなら、そういうことにしておきましょう」

 ベアトとアイリスが、自分のことのように怒ってくれたことが嬉しかった。三年という時間の経過で二人との繋がりは、手紙だけ。
 聖女であり、王妃であり二人ともそれなりの立場があるのだから、そう簡単に王都からでられないのはしょうがない。それでも今回、駆けつけてくれたことが本当に嬉しかった。

「それと今回、(わたくし)の主催のパーティー以外にもシャルにはちょっと頼みたいこともあるのよ」
「私に?」
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