大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

 辺境地から王都まで馬車を飛ばしても四日はかかるのに、高価な転移魔導具を使って夕暮れ前には王都の関所を通過していた。
 賑やかな声に、懐かしい建造物に私は窓の外を子供のように眺める。
 三年の間に建物なども真新しいものが増えて、人も辺境地よりも多く賑やかで活気に満ちていた。

「なんだか変なの……。数時間までは屋敷に居たのに」
「新幹線に乗った感覚だよな。高価な魔導具を渡してくれたルディーには感謝しないと」
「え、ルディー様が?」
「そうよ。今や王宮魔術師の長として、魔術式と魔導具の開発に勤しんでいるわ。シャルが倒れたって聞いて(わたくし)たちに持たせてくれたのよ。それと『シャーロット様からちょっとでも異変を感じたら、連れ去ってでも王都に連れ戻してほしい』って言っていたわ。愛されているわね」

 「愛」と言う単語に、私は頬が熱くなるのを感じた。二人ともニヤニヤしながら私を見つめ返す。

「え!? ルディー様は、ただ単純に心配してくれただけでしょう」
「そうかな。魔法師協会経由で診察の打診が来たから慌ててアタシやベアトに尋ねてきたんだから、充分特別扱いだと思うけど」
「(魔法師協会……。あ、主治医が連絡するって言っていたから……)アイリスまで」
「事実だろう」
「そうよ」

 そういえば私に《魔法の種子》がなくて、特殊体質だったことをルディー様はずっと気にかけていた。
 肉体の変化や精神負荷がかかっていないかとか小難しいことを言っていたので、半分以上は聞き取れなかったけれど。

 なんだかこの数日で、いろんなことが目まぐるしく動いているせいか現実味がない。
 ベアトやアイリスがここまで行動的だったなんて、思わなかった。そう思ったが学生時代は、シナリオ展開や死亡率を下げるため奮闘していたのを思い出し、あの時の方がもっと大変だったと懐かしむ。
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