大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで
「(結婚してから学院次代のことを思い出すことも減っていたし、二人からの手紙も中々返せなくて申し訳なかったかも)……今思うとベアトやアイリスからの手紙や招待状の返事を断ってばかりでごめんなさい」
「気にしなくていい。私だって聖女の仕事で王都から出られなかったし」
「そうね。私も王妃になってから、シャルの領地に訪問ができなかったのだから」
「そういえば、今回は国王陛下がよく許可を出してくれたね」
「ふふふっ、アルバートを説得する材料ならいくらでもあるもの」
「黒い」
「真っ黒だな。……まあ、アタシも主人と三日三晩の攻防の末だったから人のことは言えないかも」
「アイリス、ベアト……」
「親友の危機なんだから、駆けつけるのは当たり前」
「同感ね」
魔法学院教頭と、国王陛下。どちらも忙しいのに会話するための時間を捻出する──その努力が、相手を思っているからこそできるのだと思うと、胸が締め付けられる。
それが羨ましいとは思ったけれど、涙は出なかったし、二人には笑顔で言葉を返すことができた。
鋭い痛みは感じない。
辛いとか、寂しいという感情も徐々に薄れて、少しずつ旦那様のことが頭から離れていった。
今頃手紙を見ただろうか、とか。
どう思っているのだろう、とか。
心配かけてしまっただろうか──と馬車に乗り込んだときは思っていたのが嘘のようだ。
(旦那様が見えなくて、聞こえなくなるだけじゃなくて……関心がなくなっている?)
それは喜ばしいことなのか、それとも悲しむべきことなのか。
私にはもう判断がつかなかった。