大好きな旦那様が見えなくなってから、本当の夫婦になるまで

「父様、母様……」

 墓の前で一日中泣いていた泣き虫でウジウジした性格を殺して、無愛想な仮面を被り続けていた。そんな偽りの仮面を崩したのは、俺の後輩だった。いつも笑顔で声をかけてくる。

「ベルナルド様!」

 灰色の長い髪、空色の瞳にあどけなさが残る彼女がとても可愛くて、すぐに好きになった。父様の言っていたことは事実で、好きな人ができるだけで世界が変わる。
 俺が突慳貪(つっけんどん)に接しても、めげない胆力に、明るくて前向きな姿が可愛らしくて、ますます惹かれた。最初は刺客か罠かなんて思ったが、彼女はあまりにも純粋で、清らかでお日様のよう。好きにならないはずがない。

(ああああああああああああああーーーー、すごくかわいい。ギュッてしたら柔らかいんだろうな。いや力の加減を間違えると、肋骨を折って骨が肺に刺さって殺してしまうかもしれない。家に帰ってサンドバッグで力の加減を調節しないと。……それから、本屋だ。意中の相手に好かれる方法も! ハッ、いやいや、俺みたいな根暗でクソ野郎が人に好かれるわけなんかない、なにを夢見ているんだか……)
「ベルナルド様。疲れている時は、甘い物を食べると元気が出るそうですよ」

 そう言って彼女は、俺の隣で手作り感満載の菓子(チョコ)を差し出した。
 え、なにこの天使。

「(あああああああああああああ空気の読めるシャーロットが可愛すぎる。だがチャラい男とか、キャラが違うなんて思われて、幻滅されたくない!! 平常心、平常心。こういうときの呼吸法はあー、アルバートが言っていたヒーヒーフーだったか?)…………そうか」
「はい!」
(そうか、じゃなあああああああああああああああああああい。もっと、こう、言い方ってものがあるだろうがあああああああああああああああ! いや、でも今さらゴミクソみたいなメンタルの俺を見せたら引くよな、絶対。強がって誤魔化して、負のオーラまき散らすダメ人間なんて、死んだ方がマシだ……)
「ベルナルド様、はい、あーんしてください」
「ん」
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