悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!
「俺たち友達、だよな?」

「そんなの友達って言わないけど、あんたバカなの?」


しゃがみ込みながらメガネの男子の頭を鷲掴みにしていた男子生徒は、急に現れた私に驚いたように振り向いてきた。


「あんたが今やってることは友達にすることじゃないから。そんなこともわからないわけ?」

「な…なんだよおまえ!」

「はあ?なんであんたに名前を名乗らなきゃいけないの?目障りだから早く私の前から消えてくれる?」


バツが悪そうに男子生徒は舌打ちをすると、逃げるように行ってしまった。


「あの…ありがとうございます」


恐る恐るお礼を言いながらふらりと立ち上がっていた男子生徒に、落ちていたメガネを差し出す。

幸い、見た感じヒビは入っていないみたいだ。


「別に。目障りだっただけ。この世界での悪は私だけで十分だしね」

「え?」

「なんでもない。こっちの話。あんたもあんな男に負けないくらい強気でいなさいよ。ビクビクしてるからいじめられるんだからね」


いじめていた側が何を言っているんだと思いながら、はあとため息をつく。
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