悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!
首を突っ込むつもりはなかったのに、思わず体が勝手に動いていた。


「か、かっこいい…」

「…は?」


顔を上げると、メガネの男の子が目をキラキラと輝かせながら私を見ていた。


「ヒーローみたい。どうしたらお姉さんみたいにかっこいい人になれるんですか?」

「…別に、かっこよくもなんでもないよ。私、学校ではみんなから嫌われてるし」


カツアゲまではしないけど、やってることはあのいじめっ子と同じだ。

行き場のないイライラやストレスを発散させるために、優しくて弱い人間をいじめる。


「…僕と同じですね。僕も、学校でみんなから嫌われてるんです。僕には何にも才能がないから。同年齢の子と話すことが苦手で、いつもオドオドしてるからいじめられるようになって、友達だと言うくせにお金を取ることでしか僕を必要としてくれない。僕のお兄ちゃんは友達がたくさんいて、才能もあるのに、僕は何も取り柄がない。それでも、僕を見てくれるのは彼だけなんです。たとえいじめられようと、我慢しなきゃいけない。彼の役に立たなければ、友達ですらいられなくなっちゃうから…」

「友達って、なんなの?」

「…え?」


はあとため息をついて腕を組みながら、壁にもたれかかる。


「お金をあげなきゃ友達じゃないの?利用価値がなければいけないの?そいつの顔色伺いながら毎日を生きて、一体何の得があるの?」
< 46 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop