僕の愛しい泥棒娘
「僕も避難させるべきだと思う。出産まで
3ケ月を切ったよね。それまでに黒幕を見つ
け出せればいいし、最悪避難先での出産にな
るだろうけれど、でも、避難先はそれらしい
ところを2ヶ所、もちろん王宮にも王妃がい
るように偽装する事、避難先にはそれぞれ身
代わりを用意して、実際は全然誰も考えもし
ない所に匿う。と言うのが一番安全な方法じ
ゃないか」

他の4人はあっけにとられた。
そうなんだ、この人はいざという時に一番す
ごい事を言うんだ。

それもしれっとした顔をして本当に敵わない
なあと思っていると

陛下が声を出して笑い出した。

「兄ちゃん、やっぱり居てくれて助かったよ」

と言って、自分の兄の手を握ってまだ笑って
いる。

この男のせいで陛下は国を統べる大きな責任
を負わされて今、自分の妻の命まで狙われて
いると言うのに、何ともこの兄弟の絆は大し
たもんだ。

でも、誰が見てもこの国の国王陛下は弟のバ
ンダリム・エクスポリアの方がふさわしいと
分かっている。

本人たちも分かっているはずだ。

父親は母親の事がなかったとしてもいつかは
王位継承権を放棄して公爵に下ったと思う。

そう言う人なのだ。飄々としていつもニコニ
コしているが、こうと決めたら絶対に引かな
い。そんな強さのある人だ。

そして廻りを冷静に見つめている。
父親にも誓約書を見せたが、いつかこうなる
と思っていたと言って、何としても3ケ月以
内にワイナリー家を潰せと息子に向かって平
然と言ってのけたのだ。

そしてワイナリー家で昼間お茶会があれば要
注意だその時に、男どもは謀議をするはずだ
からアンテナを張っておけとアウスレッドに
命じたのだ。
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