甘く苦く君を思う
「あ、よかったら座ってちょうだい。今コーヒーを持ってくるわ。渚ちゃんはりんごジュースでいいかしら?」

「うん」

私の代わりに返事をする渚はジュースに釣られ、声が大きくなっていた。

「あの、これよかったら」

私が昨日作ったフィナンシェとココナッツのメレンゲを手渡した。

「ありがとう。一緒にいただきましょうね」

お義母さんがキッチンに行くのを見計らって昴さんにソファへ促された。けれどお義父さんと向かいあった状態でお互いに気まずくて会話がない。
そうこうしている間にコーヒーと私が持ってきたお菓子がのったトレイが運ばれてきた。
渚には子供用のキャラクターがついたジュースと、同じキャラクターのラムネやスナックが渡された。

「わぁ、これすきー」

それを見て私の膝から飛び降りるとすぐに食いついた。普段あまりジュースを飲ませていないので、昴さんがストローを差してあげると飛び跳ねながら喜んでいた。

「ぱぱー、これね、おいしいの」

「よかったな。座って飲もうか」

そう言い私と彼の間に座らせると静かに飲み始めた。そんなふたりの姿を見て、お義父さんがぼそりと一言つぶやいた。

「昴はもう父親と認められているみたいだな」

私はそれにどう反応したらいいのか分からずにいたが、彼がそこで口を開いた。
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