甘く苦く君を思う
私がシングルマザーになろうとしていることは正直に最初から話した。家族にも連絡をとっていないことも伝えると少し驚いたようだが、今の時代はいろんな形があるからと受け入れてくれた。
そして何かあれば必ず頼るように、と何度も念を押された。
妊婦健診に行けば一緒に成長を喜んでくれ、胎動を感じるようになるとお腹に手を当て声をかけてくれた。
ケーキ作りが楽しくて、夢中になってしまうとふたりが休憩するように何度も言いに来て、まるで本当の家族のよう。
後期になると私用に椅子を準備してくれ、少し疲れた時には座るよう説得された。
ここに引っ越してきた時にはどうなるのかと不安しかなかったが、いつの間にかこの生活があたり前の日常になりつつあった。
「沙夜ちゃん、あと2週間で予定日でしょう。もう産休に入ったら?」
「でも、家にいてもすることがないし。もう厨房に入るにはお腹がきついから、せめて店先に時々遊びに来させてください」
「もちろんよ。来るのは全然いいの。私も会いたし、赤ちゃんが産まれるのを今か今かと待っているんだもの」
幸子さんは私の出産準備も一緒に手伝ってくれた。幸子さんには息子さんがいるが、滅多に帰ってこないし、まだ独身なので私の子を孫のように楽しみにしてくれている。
「沙夜ちゃん、生まれたら親御さんには伝えるの?」
それはどうしようかと悩んでいるところだ。ここに引っ越してからの数ヶ月、家族の誰ひとり私の近況を尋ねてくる人はいない。きっと東京から引っ越しをしていることにも気がつかないのだろう。そのくらい私の両親は仕事一筋だ。そして私はいつもひとりで食事をとっていたことを思い出す。
「そうですね、伝えなければとは思うけど関心はないんじゃないかな」
「そんな訳ないわよ。孫が産まれると聞いたら喜ぶと思うわ。でもちょっと驚いちゃうかもね」
そういたずらっ子のように笑う彼女の孫なら最初から妊娠を伝えられただろう。私の母はきっと「あ、そう」と終わるような気がする。
生まれてからどうしたいかを考えようと心に決めた。
そして何かあれば必ず頼るように、と何度も念を押された。
妊婦健診に行けば一緒に成長を喜んでくれ、胎動を感じるようになるとお腹に手を当て声をかけてくれた。
ケーキ作りが楽しくて、夢中になってしまうとふたりが休憩するように何度も言いに来て、まるで本当の家族のよう。
後期になると私用に椅子を準備してくれ、少し疲れた時には座るよう説得された。
ここに引っ越してきた時にはどうなるのかと不安しかなかったが、いつの間にかこの生活があたり前の日常になりつつあった。
「沙夜ちゃん、あと2週間で予定日でしょう。もう産休に入ったら?」
「でも、家にいてもすることがないし。もう厨房に入るにはお腹がきついから、せめて店先に時々遊びに来させてください」
「もちろんよ。来るのは全然いいの。私も会いたし、赤ちゃんが産まれるのを今か今かと待っているんだもの」
幸子さんは私の出産準備も一緒に手伝ってくれた。幸子さんには息子さんがいるが、滅多に帰ってこないし、まだ独身なので私の子を孫のように楽しみにしてくれている。
「沙夜ちゃん、生まれたら親御さんには伝えるの?」
それはどうしようかと悩んでいるところだ。ここに引っ越してからの数ヶ月、家族の誰ひとり私の近況を尋ねてくる人はいない。きっと東京から引っ越しをしていることにも気がつかないのだろう。そのくらい私の両親は仕事一筋だ。そして私はいつもひとりで食事をとっていたことを思い出す。
「そうですね、伝えなければとは思うけど関心はないんじゃないかな」
「そんな訳ないわよ。孫が産まれると聞いたら喜ぶと思うわ。でもちょっと驚いちゃうかもね」
そういたずらっ子のように笑う彼女の孫なら最初から妊娠を伝えられただろう。私の母はきっと「あ、そう」と終わるような気がする。
生まれてからどうしたいかを考えようと心に決めた。