甘く苦く君を思う
「お金は払いますから」と財布からお札を取り出すが、自分が話をしたくて付き合わせているのだからと受け取ってくれない。渚と一緒におまけのおもちゃをかごの中からゴソゴソを探す姿を見てなんだか微笑ましく思えた。高倉グループの跡取りがこんなおまけのおもちゃのかごを漁っているなんて面白い。くすりと笑いが込み上げてしまった。

「いいのあった?」

渚は外で遊べるシャボン玉のセットを選んだようだった。まだできないのでは?と思ったが、興味を持ったのなら一度はやらせてみようといつも思っている。すぐに親がダメだと決めつけたくはない。
商品が出来上がると彼が受け取り、持ってくれたので私は渚の手を繋ぐといつもの公園に向かった。
お昼の時間を少し過ぎているのでいつも公園のテーブル席は空いていることが多く、今日も座れた。袋からハンバーガーとポテト、アップルジュースを取り出し並べてあげると早速食べ始める。私たちの向かいに座った彼も一緒に食べ始めるが、久しぶりの光景に私の手は思わず止まる。

「まま?」

食べない私を不思議そうに見る渚に、おいしい?と聞くと頷いており、私も食べ始めた。
あっという間にお腹を膨らした渚はいつものようにそばにある小さな滑り台をやり始めた。このあとはきっと向こうにある小さい子供向けのブランコや砂場に行きたがるので慌てて食べた。それを見て昴さんは私にゆっくり食べるといいと言うと立ち上がった。

「渚ちゃん、ママはまだ食べてるからおじちゃんと遊ぼうか」

「いいよ」

そんな返事が聞こえてくる。さっきもらったシャボン玉を取り出すの見て慌てて声をかける。

「渚はまだやったことがないの」

「分かった」
< 56 / 105 >

この作品をシェア

pagetop